地球温暖化防止に向けたCO² 削減のために、省エネによる環境への配慮から世界各国で白熱電球を廃止する動きが広がっています。米国・カリフォルニア州やカナダ、EUでは2012年までに白熱電球の使用を禁止する方針であるなど、省エネ型の照明に転換するのは今や世界の潮流になっています。日本でも二酸化炭素排出量を2020年までに1990年比で25%削減するという目標を掲げ、経済産業省が2012年までに白熱電球の製造・販売を中止してLED照明などの省エネ型の照明に切り替える方針を打ち出したことで環境問題への関心が高まっています。
現在は比較的導入コストが低い電球型蛍光灯が主流になりつつあるようですが、電球型蛍光灯には水銀が含まれているため廃棄時に注意が必要です。その点LED電球は一般的に周知されている省エネ・長寿命であるというだけでなく、環境に有害な水銀や鉛などの*RoHS規制有害物が使われておらず更に環境に配慮した照明器具であると言えます。
*RoHS(ローズ、ロハス、ロース)は、2006年7月に施行となった電子・電気機器における特定有害物質の使用制限についての欧州連合(EU)による指令。一般には、RoHS指令と呼ばれることが多い。
LED照明は同じ明るさで比較した場合、一般的な蛍光灯と比べて約2分の1、白熱電球では約10分の1程度の消費電力に抑えられます。更に、光源自体は熱をほとんど持たないため、照明による室内温度の上昇が少なく過剰な空調利用を抑えることができます。例えば、スーパーなどの冷凍・冷蔵用のショーケースはLED照明を使用することで温度の上昇を防げるため、冷房効率が上がることで空調設備の電気代の削減を実現します。
このようにLEDは白熱灯に比べCO² の削減にも大きな効果が期待でき、コスト面でも白熱灯に優る効果が期待できます。
従来の白熱灯が約1,000~2,000時間、蛍光灯が約6,000~12,000時間であるのに対し、LEDの一般的な寿命は約40,000時間(光束維持率70%) と圧倒的な長寿命を誇ります。例えば1日10時間点灯したとして年間約3,700時間となり、器具の交換の目安は使用状況によって異なりますが8年~10年程度使用できます。交換する作業費を大幅に節約できるだけでなく廃棄物を削減することになり、環境に有害な水銀などの物質を含まないなど LEDは環境に優しいあかりです。
他の多くの光源と異なりLEDによる光は可視光以外の放射が少なく、下図でご覧いただけるように赤外線・紫外線をほとんど含みません。そのため食品や化粧品等の熱照射を嫌う物や、紫外線による退色を避けたい文化財や芸術作品の照射に適しています。又、虫が集まりやすい光の波長がカットされているため虫が寄りにくいと言えます。
LEDは固体光源でフィラメントを使用しないため白熱電球に比べて衝撃・振動に強く、ランプの交換が不要なので結露防止構造が簡単にできるため防水構造にすることが比較的容易です。又、その明るさに比べてサイズが小さいため、照明器具自体もコンパクト化することができます。 LED照明がコンパクト化されることで、従来では難しかった場所や照明手法も可能になりました。
通常、LED電源ではこの定電流電源が採用されています。定電流電源とは消費電力を固定化する電源のことで、例えば3Wの電源は ボルテージの上下により3Wの消費電力を維持し、新しい電源も数年経過した電源も同じ3Wを維持するように設計されています。電流を定電流制御 をすることによって、接続数やLEDの順方向電圧Vfのバラツキによる影響が無く安定した点灯が可能です。
定電圧電源は一つの電源で複数個のLEDを点灯させる場合によく使用されています。定電圧電源とは出力電圧を固定化する 電源のことであり、LEDに流れる電流を安定させることが可能です。電源が新しいうちは一定の消費電力を維持しますが、経年劣化するにつれ知らぬ間に消費電力がかかってしまうケースもあります。
LED製品を導入したことで、これまで問題なく使えていたテレビやラジオ、医療機器にノイズが出るようになったというトラブルが発生
しています。
これらの原因の多くは、LED素子というよりも電源に問題があるものがほとんどで、特に調光出来るタイプに
電波障害を起こす例が多く見られます。
また、日本国内に50Hz/60Hzの周波数地域が存在することをよく知らないメーカー製であることが
多いようです。
日本には交流電源の周波数で、東日本の50Hz と西日本の60Hzの周波数の相違があります。世界的にみると一国内に50Hzと 60Hz の地域が混在する例は珍しいようです。これは、明治時代に関東では東京電燈が50Hzのドイツ・AEG製発電機を、関西では大阪電燈
が60Hz仕様のアメリカ・GE製発電機を採用したことにより次第に東日本・西日本の周波数が集約されていった結果です。
日本国内での電源販売に関しては50Hz/60Hzの2種類の電源を製造するというよりも、どちらにも対応できるように設計されていなければなりません。
目の前で指を左右に動かすと、こま送りのように見えるといったような ちらつきが生じる現象をフリッカー現象と言います。
LEDは商用電源の2倍の周波数50Hz・60Hzの2倍で点滅しています。つまり1秒間に100回又は120回光るということです。ちらつきを抑えたインバーター内蔵の照明器具では通常よりもはるかに高い周波数で明滅することでフリッカーを抑える事ができます。
環境的・経済的に次世代の照明として大きな期待を寄せられるLEDですが、本格的に普及するには価格や寿命だけでなく、機能や人体への影響の検査など更なる発展が求められています。又、従来のランプなどと違い購入品を組み立てるだけで作れることから、多くのベンチャー企業が溢れるようになったことによる品質の悪い製品の混入も問題視されています。
・発光効率 (熱に弱いためLED素子を照明器具に埋め込んで使用する際に、温度上昇により発光効率が素子単体時の約半分に低下してしまう。)
・価格 (損益分岐点の短縮)
・演色性の問題 (色の再現性が確立されておらず、各社電球の色が違うことがある。)
・人体への影響 (高輝度化による影響、光害)
・光の指向性 (光の広がりが他に比べて限定されるため照明計画に一定の配慮が必要。)